今回は、『肘の痛み』をテーマにしたいと思います。肘の痛みは、いくつか考えられます。
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「上腕骨外側上顆炎」・・・一般に「テニスひじ」と呼ばれるものもこれに含まれます。
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「変形性肘関節症」・・・仕事などで長年ひじを酷使した場合等。
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「野球ひじ」・・・野球が原因で起こる肘の痛み。
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「関節リウマチ」・・・全身の関節に炎症が起き痛みや腫れ、変形がおきる。
今回は「上腕骨外側上顆炎」を取り上げてみたいと思います。
“テニス肘”と聞くと、スポーツ障害と思われるかもしれませんが一概にそうとは言えません。一般に「上腕骨外側上顆炎」は、テニスには関係なく起こることのほうが多く、特にスポーツをしない主婦や中年男性などにとって身近な病気です。この病気は、ひじの外側が痛みます。しかし、関節が変形することはなく、ひじの動きが悪くなることもありません。
ひじの関節の外側には、手首を反らす筋肉が付いています。この付着部に過度の負担がかかり、炎症が起こるのです。ただし、現在のところ、関節の内部で何が起こっているかがすべて解明されているわけではなく、例えば関節を包む膜など、筋肉の付着部の周辺に異常が起こっている場合もあると考えられています。
重い荷物を持った、スポーツを習い始めたなど、明らかなきっかけがあって発症することもあれば、これまで通りの生活をしていて、特に思い当たるきっかけがないのに発症することもあります。「物をつかむ」「ドアのノブを回す」「ぞうきんなどを絞る」「ビールをつぐ」などといったちょっとした動作で、手を動かした時に痛みます。負担のかかりやすい利き腕のひじに起こることが多いといえます。
30歳~50歳代の方に多いといわれています。この年代の人は、筋肉のしなやかさが失われていく一方で、筋力はある程度維持されているため、つい無理をしてしまい、筋肉の付着部にかかる負担が大きくなりやすいといえます。また、生活の中で手を使う機会が多いことが関係していると考えられます。
治療法としては・・・
◆安静・・・痛みが起こる家事やスポーツなどの動作を極力行わないようにし、ひじを休ませます。
◆消炎鎮痛薬・・・内服薬、湿布薬、軟膏などが用いられます。
◆局所注射・・・ステロイド薬を筋肉の付着部に注射し、炎症を抑えます。
◆物療・・・電気をあてて、血行を促します。
◆ストレッチング・・・手首を反らす筋肉を伸ばします。収縮して固くなった筋肉が柔らかくしなやかになり、筋肉の付着部にかかる負担が軽減されます。
◆装具、あるいはテニスバンドの装着も痛みの軽減に有効です。テニスバンドは、スポーツ店などで市販されています。
痛みがあると、誰でも憂うつな気分になって、イライラしがちですが、病気の特徴を理解して、根気よく対処しましょう。
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虫の音を耳にしていたと思っていたら、いつの間にか季節は木枯らしが吹く「冬」へ移ろうとしています。何かの本で読んだ記憶があるのですが、「虫の音」を、日本人は風情と感じ外国人はノイズ(雑音)と捉えるようです。
以前、ある年配の女性の家に招かれたときのことです。季節は、確か・・・今頃だったかと思います。コタツにあたろうとしたら、コツっと何か膝に当たる物があったので、いぶかしく覗いてみると金魚鉢の口を狭めたようなガラスの容器がかたわらに置かれていました。 中には、何とカマキリが居たのです。驚いている私に、女性は言いました。「庭そうじをしていたら、動きの鈍いカマキリをみつけたのよ・・・かわいそうな気がして、越冬させてあげようと思って」
「カマキリ」は苦手でしたが、ほのぼのとした気持ちになりました。生物学上、それが理に適っているかどうかは分かりません。ですが、小さな命に向けられた視線の暖かさに、彼女の心の豊かさを感じました。
それから、「カマキリ君(さん?)」に親近感(以前よりは・・・)を覚えた私です。
では、また次号でお目にかかりましょう。